──左右差・色味トラブルの“あとの心”を守るために

はじめに
「帰り際まで笑顔でありがとうって言ってくれたのに…」
「満足されていたと思ったのに、後日LINEで“左右が違う”と連絡が来た」
そんな経験、ありませんか?
私はあります。
最初は頭が真っ白になって、夜眠れないほど落ち込みました。
「もう施術が怖い」と感じたあの気持ちは、きっと読んでくださっているあなたも経験があると思います。
でも、クレームは“敵”ではなく、信頼を取り戻すチャンスでもあります。
今回は、現場で本当に起きた事例と、心理・法律・保険の観点を交えながら
「どう向き合えばいいのか」「どう自分を守ればいいのか」をまとめました。
・クレームの裏にある「不安」の心理

クレームの多くは「怒り」ではなく「不安」から生まれます。
心理学ではこれを認知的不協和と呼び、
「期待と現実のズレ」を感じると、人は強いストレスを抱くとされています。
施術直後に満足していた方が、後日「やっぱり違った」と感じるのは、
家族や友人の一言がきっかけで不協和が生まれるからです。
そんなときに一番大切なのは、
否定せず、受け止めること。
「そう感じてしまわれたのですね。ご不安なお気持ちにさせてしまい申し訳ありません。」
と、まず“感情”を受け止めることから始めましょう。
ここで技術的な説明をしても相手の心には届きません。
心理的には、安心感が戻ると初めて理屈が通るようになるからです。
・LINEで完結させない。必ずご来院いただく理由

アートメイクは医療行為です。
写真やLINEのやり取りだけでは正確な状態が判断できず、
万が一の誤解を深めてしまうリスクがあります。
「一度ご来院いただいて、実際のお肌の状態を拝見しながらお話しさせてください。」
この一言を添えるだけで、トラブルの再発率はぐっと下がります。
そして、再来院された時は
「ご不安なお気持ちにさせてしまったこと」について誠実にお詫びしましょう。
ここで注意したいのは、
「技術が悪かった」とは言わないこと。
謝るべきは、“技術”ではなく“気持ち”。
「悲しい思いをさせてしまって、本当に申し訳ありません。」
「私の説明が十分でなかったのかもしれません。」
このような伝え方が一番誠実で、信頼を取り戻す近道です。
・よくあるケースと実際の対応

① 左右差を指摘された場合
• 施術直後の写真を比較し、技術的要因があるか確認。
• 明らかな差がある場合は再施術や補正を一部負担で提案。
• 技術に問題がなければ、経過や生活習慣(寝る向き・皮脂など)、筋肉などの影響も丁寧に説明。
「確かに右側の方が少し薄く見えますね。
次回の施術でこの部分をほんの少し濃いめに整えましょう。」
② 色が違う・薄くなったと言われた場合
• 時間経過による退色・皮膚のターンオーバーを再度説明。
• 「左右差は起きる可能性がある」と初回から伝えるのも重要。私は同意書にも記載しています。
「2回目の調整でしっかり整えていく前提で進めていきましょう。」
③ 返金を求められた場合
返金は最終手段。
「もうここには行きたくない」という気持ちの整理であることが多いです。
誠実に対応し、返金を決めたらその後の施術は終了と明確に伝えましょう。
「今回はご希望に沿えず申し訳ありません。誠意をもって返金させていただきます。
ただ、今後の施術対応は難しい旨、ご了承ください。」
・法律的に見たアートメイクの「責任」

アートメイクは医行為にあたり、
法的には「結果責任」ではなく「過程責任(説明義務)」が問われます。
つまり、左右差や色の違いといった“結果”そのものではなく、
• 十分な説明をしたか
• 同意書を取得していたか
• 医師の管理下で行われたか
が重要になります。
この条件が整っていれば、損害賠償の対象にはなりにくいのが実情です。
もしも訴えられた場合の現実的コスト
美容医療トラブルで裁判・調停に発展した場合、
金銭的な目安は以下の通りです
・弁護士費用(着手+成功報酬):約50〜150万円
・裁判所費用(印紙代・郵券など):数万円程度
・損害賠償金(顔のアートメイク等)
軽度トラブル:10〜30万円前後
重度(感染・瘢痕):100〜300万円程度
実際、左右差や色味の差だけで数十万円の賠償になることは稀です。
ただしSNSなどで拡散されることで reputational risk(風評被害)が大きくなる可能性があるため、
初動での寄り添い対応が最も重要です。
・美容医療賠償保険とは?

美容クリニックで加入している「美容医療賠償責任保険」は、
通常、雇用関係にあるスタッフのみが対象です。
フリーランスや業務委託ナースは適用外。
現時点では、看護師単独で加入できる美容医療特化保険は存在しません。
そのため、業務委託ナースは
フリーランスの保険(年間1万円程度)
の加入も検討しましょう。
これらで弁護士費用がカバーできることがあります。
備えがあるだけで、精神的な安心度は大きく変わります。
詳しくはここに書いています👇

おわりに
クレームは、決して「失敗」ではありません。
むしろ、患者さんが「あなたを信じていたからこそ」伝えてくれた言葉です。
施術に正解はなくても、誠実な対応には正解があります。
落ち込むのは当然です。
でも、あなたがひとつひとつ丁寧に向き合った経験は、
次に同じ不安を抱える誰かを救う力になります。
このノートでは、リクエストの多かった「クレーム対応」をテーマに書きました。
もし「こういうテーマも知りたい」「次は〇〇を取り上げてほしい」などあれば、
LINEから気軽にメッセージください🌸
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ちなみに、私は今でも施術が終わるまで
ドキドキはしますが、
口から心臓が飛び出そうなくらいにドキドキしなくなったのは100人を超えたあたりからでした。
あなたの現場での不安が、少しでも軽くなりますように。
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📚 ブランド名:アートメイクの本棚
このnoteは、美容ナース・アートメイクナースを目指す人のための“リアルな学びの教本”です。


