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アイラインアートメイクで失明!?― 論文と症例から考える「医療として行う意味」

アートメイクの中でも、
特にアイラインは「きれいに入れられるか」より先に、
ちゃんとリスクを理解しておいてほしい施術だと思っています。

最近、医療で行うアートメイクと、
インクメイク・コスメティックタトゥーなどの非医療施術との間で、
いろいろな議論や摩擦が起きていますよね。

でも、その是非を感情で語る前に、
アイラインという部位が、どれだけ解剖学的にリスクを含んでいるか
ここを一度、冷静に見てほしい。

まぶたは薄く、眼球との距離は近く、
ミリ単位の差がもろに影響する場所です。
解剖学と医学的リスクを理解した医療者が、医療として行う意味がある。

今日は、論文と実際の症例をもとに、
アイラインアートメイクのリスクを整理します。

目次

1|アイラインは“ミリ単位”が重大事故につながる部位

アイラインのリスクは、解剖学と深い関係があります。
• まぶたの皮膚は極めて薄い
• 眼球(角膜・結膜)との距離が近い
• 血管・神経が密集している
• ほんの数ミリの深さ・角度の差が、角膜や結膜の損傷につながり得る

眉・リップと同じ“皮膚への色素注入”でも、
リスク構造がまったく違うのがアイラインです。

2|症例報告

【症例①】まぶた全層貫通と球結膜への色素迷入

報告内容
• 美容目的のアイラインタトゥー施術中
• タトゥー針がまぶたを全層貫通
• 結膜に色素が迷入した症例が報告されている

経過
• 眼の炎症反応は治癒
• しかし、迷入した色素は完全には消失せず残存した

論文中の位置づけ
• 医原性の眼外傷として記載
• アイラインタトゥーに関連した合併症の一例として報告

PubMed
Full-thickness eyelid penetration during cosmetic blepharopigmentation causing eye injury - PubMed Physicians should be aware of the potential complications of cosmetic tattooing. Some measures for the prevention of iatrogenic injury are suggested.

【症例②】角膜実質内への色素沈着

患者背景
• 63歳女性
• 既往歴に特記すべき眼疾患なし

施術内容
• 上下眼瞼に対する美容目的のアイラインタトゥー

発症
• 施術後3日で
• 片眼の発赤
• 眼刺激感
を主訴に受診

初診時所見
• 上下睫毛ラインに黒色の色素沈着
• 左眼:
• 結膜充血
• 角膜鼻側に黒色の色素沈着(約1.5×0.5mm)
• 角膜上皮欠損、感染、穿孔、前房炎症は認めず

対応
1. スリットランプ下で色素除去を試みる
 → 一部のみ除去可能
2. 外科的掻爬を追加
 → 角膜実質層内に色素が存在し、完全除去は困難
3. 実質深部への侵襲を避けるため、これ以上の除去は行わず
4. 色素成分を分析
 → 主成分は炭素・酸素など
 → 鉛・銅などの有害金属は検出されず

経過
• 炎症反応は軽度
• 視軸中心部を外れていたため経過観察
• 約6週間で色素は消退

論文の結論
• アイラインタトゥーは比較的安全と考えられているが
角膜への色素迷入など、視機能に影響し得る合併症が起こりうる
• 合併症発生時には医学的評価と管理が重要と記載

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【症例③】眼瞼タトゥー後に生じたマイボーム腺機能障害

患者背景
• 31歳女性
• 既往歴:特記すべき全身・眼疾患なし

施術内容
• 美容目的の眼瞼タトゥー(眼瞼縁)

急性期症状
• 施術後2時間程度で
• 両眼の強い疼痛
• 流涙
• 異物感
を訴え受診

初診時所見
• 両眼に
• 広範な角膜上皮欠損
• 結膜充血
• 前房炎症なし

治療経過
• 抗菌薬点眼・治療用コンタクトレンズで
→ 角膜上皮欠損は回復

その後の所見
• 眼瞼縁内側に
• 色素沈着が残存
• マイボーム腺開口部を含む部位の侵襲
• マイボーム腺分泌障害を認める
• 涙液層破壊時間(TBUT)の低下

長期経過
• 視力は回復
• しかし、ドライアイ症状が持続
• マイボーム腺機能障害は改善せず

論文の結論
• 眼瞼タトゥーにより
• 急性合併症(角膜上皮欠損)
• 慢性合併症(マイボーム腺機能障害・ドライアイ)
が生じ得る
• マイボーム腺や関連筋の損傷が原因として考察されている

https://www.researchgate.net/publication/270108500_A_Case_of_Meibomian_Gland_Dysfunction_after_Cosmetic_Eyelid_Tattooing_Procedure

3|日本での“トラブル”

国民生活センター資料より抜粋

国民生活センターの資料では、
アートメイクの施術部位として「眼の周囲(アイラインを含む)」が多いことが示されており、
• 眼の違和感
• 強い痛み
• 角膜を傷つけた可能性があるケース

など、眼に関連するトラブルが発生し得ることにも言及されています。

特に、
眼は日常生活への影響が大きく、
症状が強い場合には医療機関での対応が必要になるとされています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000223vo-att/2r9852000002242i.pdf

4| なぜ「アイラインは医療でやる意義」が特に大きいのか

アイラインは、合併症が起きたときに
• 眼科的な評価(角膜・結膜・前房反応など)が必要になる
• 処置や投薬の判断が必要になる
• “取る/取らない”の判断が視機能と瘢痕リスクの天秤になる

つまり、トラブル対応の難易度が一段上がる。  

そしてもうひとつ。
説明不足そのものがトラブルを増幅させる。

医療で行う意義は、技術だけじゃなくて
• リスクを言語化して伝える(インフォームドコンセント)
• 記録と同意の設計
• 異常時に“医療として対応できる”体制

ここにあります。

まとめ

アートメイク全般に言えますが、アイラインは特に「知らなかった」では済まされない障害を与えてしまうことが多いです。
私たち医療者としての責任は、技術より先に“解剖学への理解”が最優先となります。

そして、アートメイクを続けていくなら、特にアイラインは、医療でやることの意味が大きい。
安心安全に美しくなってもらうため、起こりうるリスクを把握し、対策を立てていくことが必要不可欠です。
私はそう思っています。

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この記事を書いたパイセン

38歳でデビューし、講師経験を経て今は経営側に。
法律や税金にも詳しく、いつも冷静に道を示してくれる人。
頼りがいがあって安心感があります。

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